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ティム・クックのゲイ告白の裏にある、ここ最近のアメリカでの同性婚を巡る動き

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ティム・クックのカミングアウトが大きな話題になっています。

当サイトでも以下のように取り上げました。 

なぜこのタイミングでティム・クックは自らの性的指向を告白したのか。

その裏にはここ最近のアメリカでの同性婚を巡る大きな動きがあります。

今日はそのあたりについてまとめたいと思います。

アメリカにおける同性婚の状況

Businessweekに掲載された文章の中で、AppleのCEOであるティム・クックはこのように書いています。

The world has changed so much since I was a kid. America is moving toward marriage equality

私が子供のころに比べて、世界は大きく変わった。アメリカは結婚の平等に向かって動き出している。

ここでいう「結婚の平等」とは、男女間と同様に同性間でも結婚が認められるという意味です。

アメリカでは州の自立性が強く、州ごとに憲法、民法などを定めているため、同性婚が認められているかどうかは州ごとに異なっています。

2003年、わずか10年前の時点で、同性婚が認められていたのはマサチューセッツ州ただ一州だけでした。

次に同性婚が認められたのは5年後の2008年、コネチカット州でのことです。

その後も同性婚を認める州が少しずつ増えてはいきますが、それでもその歩みは鈍いものでした。

潮目が変わったのは2013年、連邦最高裁が「結婚は異性間のみに認める」と規定した「結婚防衛法」を違憲とする判決を下したときのことです。

連邦最高裁は判決の中で、同性婚を禁止し異性婚と同等の権利を認めない「結婚防衛法」は、財産権の保障を定めた合衆国憲法修正第5条に反していると指摘しています。

そしてさらに2014年、連邦最高裁は同性婚を禁じる州法への違憲判決を不服としたインディアナ州などの上告を受理せず、これでさらに同性婚を認める方向に弾みがつきました。

 2014年の10月末時点で、同性婚を認めた州は30を越えています。

現時点での各州における同性婚の状況は以下のCNNのページにまとまっています。


Same-sex marriage in the United States

 

また、2014年に入って同性婚を認める州がどれほど急激に増えたかは、以下のページで確認できます。地図の上にあるスライダーを動かすことで、1995年から2014年までの同性婚の状況をビジュアルで見ることができます。


Same-Sex Marriage State-by-State | Pew Research Center's Religion & Public Life Project

なぜ結婚なのか

なぜ同性愛者にとって結婚がそれほど重要なのか。

これにはもちろん同性愛を認めて欲しいという心的な欲求もありますが、それ以上に切実で現実的な問題があります。

Businessweekでティム・クックはこう書いています。

Still,   <中略>  There are many places  <中略>  where we can be barred from visiting sick partners and sharing in their legacies.

それでもなお、多くの場所で、病気に掛かったパートナーを見舞ったり遺産を受け継いだりすることが禁じられています。

アメリカの様々な社会制度は、「結婚」という制度を前提に作られています(そしてこれは日本も同じです)。

集中治療室に入っている患者を見舞う際に、公的に認められた近親者ではないという理由で入室を断られたり、パートナーが残した遺産を受け継ぐことができなかったりという問題が、結婚を認められないがゆえに現実に発生しています。

とくに後者は深刻で、たとえば長年連れ添ったパートナーが亡くなった際に、ともに住んでいた家が亡くなったパートナーの名義であったがゆえに住む場所を失う人がいます。

パートナーが遺言を残していても、パートナーの親族が訴訟を起こしそれを裁判所が認め、けっきょく遺産をまったく受け継ぐことができないことさえあります。

また、様々な税の優遇制度も結婚を前提に設計されています。

それゆえ、結婚を公的に認めてもらうことは、同性愛者にとっては死活問題なのです。

ティム・クックの思い

同性愛を認める方向に大きく動き出したアメリカですが、それでもまだ法律で同性婚を禁じている州が残っています。

まだまだ問題が解決したわけではない、そんな状況に少しでも自分が力になれれば。

そんな思いでティム・クックはあの文章を書いたのではないでしょうか。