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メキシコ学生大量失踪事件をここらへんでまとめておく

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こんな記事が話題になっていた。


宇多丸推薦図書『メキシコ麻薬戦争』を語る

(宇多丸)<中略> これはまあ、いわゆるノンフィクションです。もちろん。メキシコを舞台とした、麻薬戦争っていうのは要するにその、麻薬を生産し、流通させ、それで儲けているいろんな組織があって。まあ、カルテルなんて言われてますけど。その組織同士による大量の殺し合いであるとか。というような話ですね。

この記事で思い出したのが、ここ一ヶ月くらい英語ニュースを読んでいるとしょっちゅう出くわす「メキシコ学生大量失踪事件」のこと。

特にアメリカのメディアではかなり大きく取り扱われているんだけど、当サイトでは取り上げたことがなかった。

というのも当サイトでは前後関係の知識がなくても読めるニュースを紹介することにしているので(参考)、ポロポロと時間差で情報が出てくるこの話題は取り扱いずらかった。

でもやはり目を引くニュースだし、日本ではあまり取り上げられていない印象もあるので、ここらへんでこの「メキシコ学生大量失踪事件」についてまとめておこうと思う。

発端

事件の発端は、メキシコ南部のゲレロ州イグアラ市で大量の身元不明遺体が発見されたことだった。

Mass grave found in restive southern Mexican state | Reuters

遺体は骨しか残らないほどひどく焼かれており身元確認も難しいような状況だったが、しかしここである疑惑が持ち上がる。

この遺体は9月末から行方不明となっている43人の学生のものではないのかと。

行方不明となっていた43人の学生

 9月26日、イグアラ市で学生と警察の間に衝突が起きる。

この衝突で少なくとも6人が死亡、57名の学生が行方不明になっていたのだ。

衝突の原因がなかなかはっきりしないのだが、

  • 学生たちは学校への助成金を巡るデモのための募金活動をしていた。そして学生たちがデモへの行き帰りのためにバスを盗もうとした際に、衝突が起きた。
  • 学生たちは警察の腐敗に抗議するため、警察にまつわる何らかのイベントを妨害しようとしていた。そこで衝突が起きた。

などという情報がある。

行方不明となっていた学生のうち、13人はやがて無事発見されたが、依然として43人の行方が分からないままだった。

そして大量の遺体発見に至るのである。

姿を消す市長と警察署長

上記の衝突で、警察側からの発砲により6人の学生が命を落とした。この責任を問われイグアラ市の市長と警察署長が召喚されるのだが、彼らは姿を消してしまう。

そして9月26日の衝突と43人の学生の行方不明の裏にイグアラ市長がいるという情報が、メキシコの司法長官によって発表される。

Mexico says mayor, wife were behind student-teacher disappearances | Reuters

この発表によると、

  • 市長は警察に対して、学生が政治的イベントを妨害するのを止めるよう指示していた。
  • 警察は学生たちを捕えたあと、ギャングに身柄を引き渡す。
  • そして学生たちの身柄を受け取ったギャングは、なぜだか学生たちを敵対するギャングのメンバーだと勘違いする。
  • 市長は麻薬を扱うギャングのメンバーであった。(これに関しては、市長ではなく市長夫人がギャングの出身という情報もある)

しかしこの時点では、発見された大量の遺体の中に行方不明となった学生は見つかっていない。

ギャングの自白、市長の逮捕

 この事件に絡んで3人のギャングメンバーが逮捕され、43人の生徒を殺害して遺体を焼いたうえで川に流したという自白が発表される。

Gang member confessions point to massacre of missing Mexico students | Reuters

この発表によると、

  • 学生たちは全員左翼よりであり、以前に市長と衝突したことがあった。
  • この事件で学生たちと衝突した警察はギャングと癒着していた。あるいはギャングのメンバーである警察官もいた。
  • ギャングたちは証拠隠滅のために学生たちを服ごと焼いた。

そして行方をくらませていた市長とその妻も逮捕される。メキシコ政府は一連の事件の首謀者がこの市長夫妻だと見ている。

この事件で見えてくるメキシコの現状

この事件が大きく報道されるきっかけとなったのは大量の遺体の発見だが、これらの遺体が誰のものなのか、実はまだ判明していない。メキシコ政府の発表によると、これらの遺体は行方不明の学生たちのものではないとのことだ。

では誰のものなのか?

確かなことは何も分からないが、メキシコでは毎年多くの人が行方不明になっていることを考えれば、そのうちの何割かがこうして人知れず埋められているということなのだろう。

 

メキシコからアメリカに不法入国しようとする者のうち、かなりの割合を若者が占めている。

彼らは何を求めてアメリカに渡ろうとするのか。

それは安全である。

市長が(あるいは市長の妻が)ギャングのメンバーであることさえあるこの国では、殺人事件の9割以上が未解決のまま終わる。それは警察が麻薬組織とズブズブであることと無関係ではないだろう。

メキシコ大統領は治安回復に力を入れているが、若者たちは麻薬組織が大きな力を持つ祖国を見限り、安全を求めてアメリカを目指すのである。

 

 

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