イスラム国に拘束されている人質は、まだこんなにいる
ジャーナリストの後藤健二さんがイスラム国(ISIS)に殺害されて、今日でちょうど一週間になる。
enticleで紹介するためにニュースサイトを漁っていて、こんな記事に出くわした。
シリアで拘束されているアメリカ人ジャーナリストの両親が、息子の救出をオバマ政権に訴えたという内容だ。
この Austin Tice さん、2012年にシリアで行方不明になり、アサド政権に拘束されたと考えられている。
この記事を読んで思い当たったのが、後藤さんのようにISISに拘束されている人がまだ多くいるはずだということだ。
つまり、後藤さんのように映像を通して脅迫されたり、残虐な殺し方をされる人が、これからまだ出てくるのかもしれない。
そこで今回は、現在ISISに拘束されていると考えられている人質を調べてみた。
ただし、現在のシリア・イラクで正確な情報を把握するのは至難の業だし、ジャーナリストの支援団体「ジャーナリスト保護委員会」もこう書いている。
Journalists Missing - Committee to Protect Journalists
SYRIA: Cases of journalists missing in Syria are extremely difficult to track. Information is scarce, the situation is constantly changing, and some cases go unreported.
シリア:シリアで行方不明になったジャーナリストを追跡するのはきわめて難しい。情報は希少で、状況は絶えず変化し、(行方不明の)報告がない場合もある。
なのでここで紹介するのは、あくまでISISに拘束されていると「考えられている」人たちだ。
1. John Cantlie(イギリス)
John Cantlie さんはイギリス人の戦場カメラマン。2012年11月にシリアで誘拐された。
このとき一緒に誘拐された James Foley さんは、その後2014年8月に ISIS によって処刑され、その映像が Youtube にアップロードされた。
通常 ISIS に拘束されている人質は、その安否を確認するのが非常に難しい。そもそも本当に拘束されているのかさえも分からないくらいだ。
しかし Cantlie さんの場合、生存していることははっきりしている。
ISIS のプロパガンダ・ビデオにレポーターとして登場し、ISIS の実情を紹介し(もちろんISIS寄りのスタンスで)、欧米諸国を痛烈に批判しているのだ。
状況を考えれば、ビデオでの見解が Cantlie さんの本音かは非常に疑わしいところだが、彼の姉は「3分の2は本音だろう」と発言している。
ただしこの発言も、兄弟が人質に取られているという状況を差し引いて聞いておく必要があるが。
2. 氏名非公開の女性(アメリカ)
26歳のアメリカ人慈善活動家。女性。2013年8月にシリアで誘拐された。
家族の要望により氏名は非公開となっている。
ISIS に拘束されていたアメリカ人のうち、James Foley さんと Steven Sotloffさん、そしてPeter Kassig さんが殺害された今、アメリカ人最後の人質と言われている。
ISISは去年の8月、ちょうど後藤さんのときと同じように、彼女の命と引き換えに660万ドルの身代金とアメリカで拘束されている囚人の釈放を要求した。
もちろんアメリカ側はこれに応じていない。
オバマ大統領は今月初め、どんなことをしてでも彼女を救出すると宣言した。
3. 赤十字国際委員会(ICRC)スタッフ3人
2013年10月、ICRCのスタッフ6人と地元ボランティア1人が誘拐された。うち4人は無事解放されたが、残る3人が拘束されたままだ。
ICRCは拘束されている3人の身元、国籍を明らかにしていない。
4. Samir Kassab(レバノン)、Ishak Moctar(モーリタニア・イスラーム共和国)
Samir Kassabはレバノン出身のカメラマン。
Samir Kassabは西アフリカにあるモーリタニア出身のジャーナリスト。
二人は2013年10月に誘拐された。
Kidnapped Lebanese cameraman’s family appeals to politicians | News , Lebanon News | THE DAILY STAR
誘拐されて一年以上が経つが、誘拐犯側からの接触はない。
家族は無事を信じて毎日祈っている。
Family still holds out hope one year after Kassab abduction | News , Lebanon News | THE DAILY STAR
5. レバノン軍兵士7人
2014年8月、レバノン軍とISISを含むイスラム過激派グループとの先頭の末に拘束される。
すでに何人かが処刑されており、正確に7人が生存しているかどうかは確認できていない。
6. Paolo Dall'Oglio(イタリア)
イタリア出身のイエズス会神父。長年にわたってシリアで活動していた。2014年7月に誘拐される。
ただし、Dall'Oglioさんに関しては、すでに殺害されたという報道もある。
表沙汰になっていない人質たち
ここに挙げられていない人質もまだたくさんいると思われる。
たとえば、26歳のアメリカ人女性と一緒に、イタリア人女性が拘束されているという報道もある。
ISIS Is Still Holding an American Woman AND a European Woman Hostage (VIDEO) | The Gateway Pundit
後藤さんのときのように突然ネットにビデオがアップロードされ、そして人質の存在が明らかになるということが今後も続くかもしれない。